原案
リアルでは、人付き合いも程ほどに、平凡な学生である主人公。
オンラインゲーム内では、他人とのコミュニケーションをとらず剣に生きる日々。

ある日、主人公はゲーム内のダンジョンにおいて
魔法か魔法を帯びた武器でしか、ダメージを与えられないモンスターに出会う。
主人公はパーティプレイを余儀なくされ
女性キャラなのに男っぽい口調を使う魔法使いと、ぎこちない会話の末
その場しのぎのパーティーを組む。

かくして、モンスターを倒し終わり、魔法の力の偉大さを知る主人公。
それを告げると、相手も同じように剣に生きる魅力のことを思っていたという。

そこから、2人は戦う為のネットの友人となり共に行動を始める。
素顔も知らず、互いがお互いの「戦う技」を必要とする寡黙な関係。
…のハズだったが、その認識はすぐに変わることとなった。

常に自分の背中を守ってくれている心強さも手伝い「相棒を先に死なせない」という
ゲームにはない自分達のルールを、それぞれが口に出さず思い込み始める。

そんな折、相棒が言い出した言葉「リアルで微笑むあなたがみたい」

中略

些細なオフ会が2人だけで開かれることになった。
待ち合わせ場所にあらわれたのは…現実で憧れていたあの人。

彼女は、ゲームを単なるゲームとして見てなかった。
彼女はSWOワールドの1人であり、俺にとっては…
もっとも大切な1人になった。
サイドストーリー


出会ったのは深い森の中。
それは、オンラインゲームを始めた初日のこと。
ヤツの最初の言葉は「すみません、攻撃の仕方を教えて下さい」だった。

俺は、見知らぬ人からの言葉に戸惑い、リアクションが遅れたんだ。
ドキドキしながら、やっと打ち込んだ返事は「こんんにちわ」
よっぽど焦ってキーボードを打ったらしい「ん」が一文字多かった。

俺も、ヤツも、今日からゲームを始めた初心者。
「何をしたらいいんだろう」と言葉を交わし、何となく一緒に歩く。
リスとか小鳥達を眺めながら。
奥にいる物騒な魔物を避けながら。
木々の狭間をぬって歩く。
ひたすら、ただ歩く。

と、目の前にあった大木が一瞬、動いた気がする。

「何で?」

思う暇もなく、マイキャラ死亡。
ヤツも隣でうつぶせ状態。

「木・・だったよな?」
「うん、木だった」

今は、あの大木が、上級者向けのモンスターだってことを知っている。
でも、その時は2人して驚いてた。

「やるな、木」
「そうだね、木」

ヤツとは、そこからつるむようになった。

俺達は、色んな場所を見に行った。
2人で修行もした。
2人でダンジョン攻略にも行った。 LV10にも満たないのに。
2人で盗賊プレイヤー(PK)に襲われて、全滅したこともあった。

「同じ人間のすることとは思えない、ひどいなぁ」
「その通りだ、あいつらの血は何色だぁぁぁぁ」
「うちらを襲っても、布の服と棍棒しかもってないのにね」
「ははは、そうだな」
「は〜、切れ味の良い、業物の剣が欲しいな〜」
「オイラも、早く強い魔法を覚えたいよ」

そんなことを話した。
俺達はいつも一緒だった。

「2人じゃないと、アマゾネスは倒せない」
「アマゾネスを相手にしないと、レベルの上がりが悪いよね」
「でも・・1人の時はここだときついな」
「そう言えば、俺と時間があわない時はどうしてる?」
「その場で、近くにいる人と即席のパーティーを組んで狩りをしてるのか?」
「う〜ん、まぁ、レベル上げはしてるよ」
「何を狩ってるんだ?」
「秘密だよ」
「ちぇ」

誰とつるんでるんだろう?
秘密だよ、って言葉が、少しだけ気になってた。

けれど、ある日、知った。
ヤツが別の大陸に渡っていたことを。
自分の魔法使い用装備もろくに整ってないくせに
何日も費やし、俺の為の業物の剣を1人で探しに行ってたことを。

その時だ。
ヤツが手にいれてくれたその剣を受け取った時
俺は初心者から戦士になった。

「相棒を先に死なせない」と心に決めた。
防御力の低い魔法使いであるヤツの盾になる。
その為に、重たい鎧をまとい、重戦士の道をゆくことにしたんだ。

「剣を捧げる」
そんな騎士道精神を掲げた格好いい理由じゃない。
でも、こういう感じ。
俺はこういう感じを、オンラインゲームに求めていたんだ。

そして、それからのオンラインゲームの日々は、ますます充実することとなる。
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